レイニンガーは、ヒューマンケアリングの重要性を提唱しました。著書に「レイニンガー看護論・文化ケアの多様性と普遍性」があります。
レイニンガーのメタパラダイムは、「患者と患者が過ごす場所には密接な関係がある」ということや「場所(環境)には、文化的背景があり、看護と文化の関係性が重要」というものです。このように「環境」を理論の中心に捉えるため、レイニンガーのヒューマンケアリングは、システム理論に分類されます。
レイニンガーの看護論はメイヤロフが提唱したケアリング論を基礎にして発展しています。メイヤロフの提唱したケアの本質は患者さんの尊厳を認めること、患者さんの必要に応える必要があること、患者自身だけでなく看護師の成長も期待できるというものです。
ここで重要なのは、患者さんも成長できますが、看護師もケアの面で成長できるということです。これは、看護師と相手が相互関係にあることを示しています。
メイヤロフの看護論と、レイニンガーが提唱した看護論には大きく違う部分があります。メイヤロフは「ケアは対象や場所が変わってもパターンが共通している」と提唱したのに対し、レイニンガーは患者さんと場所の関係、場所と文化的背景の関係について解き「患者や場所が変われば、文化的背景も変わるのでケア内容は変化する」と提唱しています。
レイニンガーの看護論では、ケアは人の成長過程どの段階でも必要な普遍的なものですが、ケアの内容は文化集団、個人によって違う多様性のあるものだと説かれています。「より良い看護を実践したい」という方は、こうした看護論を見て、自身のこれからの在り方を考えてみてはいかがでしょうか。