最善の医療への道 態度の背景にある思いを汲み取る重要性

態度の背景にある思いを汲み取る重要性

看護ケアを実践する上で、患者さんから理不尽な要求をされたり、威圧的な態度でストレスを与えられるケースは少なくありません。このような威圧的な態度は時に看護師自身に恐怖感を与えます。この恐怖は看護ケアする際の困惑につながり、その後の対応がぎくしゃくしてしまう状況を生み出しがちです。

さらにその態度が、看護師と患者さんとの間に緊張をもたらし、患者さんの威圧感を助長する悪循環につながるのです。こうなると看護師は、患者さんが威圧的な理由を全て自分のせいだと考えてしまいます。しかし、実際は看護師の問題ではなく、患者さんの問題であることがほとんどになります。

このような患者さんの威圧的な態度をどう理解すればいいのかといえば、まずは威圧的な態度の理由を模索します。威圧的な態度に圧倒されてしまい理由を考えることをしないケースが意外と多く、人によっては威圧的な態度に嫌悪感や腹立たしさを抱き、一挙一動に過敏に反応してしまうこともあるので注意が必要です。

こうした態度にはきちんと理由があるものです。精神科の患者さんや高齢者の場合、幻覚や妄想といった精神的な症状から他人に対する不信感を強めている可能性もあります。また、患者さん本来の対人関係の在り方など、根っことなる原因が関連しているケースもあるため、それを追求し、理解しようと努めることが重要です。

たとえば、患者さんが若い看護師にだけ威圧的な態度を示す場合、経験の少ない看護師にもしっかりと看護ケアを行ってもらいたいという強い期待を抱いたり、過去に不快な看護ケアを受けたときの感情を再現していることも考えられます。慢性期病棟で、人の入れ替わりが激しく、頻繁に若い看護師が配属されるような現場ではより注意した方が良いでしょう。